インプラントの上部構造(被せ物、セラミックなど)

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インプラントの上部構造の素材の種類

インプラントは顎骨の中に埋め込まれる部分・人口歯根(インプラント体)とインプラント体の上に取り付けられる支台部分のアバットメントと歯の部分に相当する人工歯(上部構造)の3つから構成されています。インプラント体の素材は、チタンまたはチタン合金で、大きさは直径が3~5mm、長さは6~18mmです。アバットメントの素材は、チタン、チタン合金、ジルコニアなどが一般的に使用されています。これらの部分は上部構造により覆われているので見た目ではわかりません。インプラントの上部構造は素材によって、審美性や耐朽性、人体への安全性(生体親和性)などが変わってきます。

インプラントの構造図

上部構造は素材の種類は、金属、レジン(プラスチック)、セラミック(陶器)、セラミックとレジンを混ぜたハイブリッドセラミック、オールセラミックス、メタルボンド(セラモメタル、陶材焼付鋳造冠)、ジルコニアなどがあります。

上部構造の素材の特徴

上部構造が金属の場合

一般的にはの治療などで使用する銀歯の外見です。金属であるために割れてしまうリスクが少なく、長く使用することができます。また他のものと比べて、費用が抑えられます。しかし、見た目が天然の歯とは異なる色であるため、見た目の美しさを求める方には適していません。また、金属アレルギーを引き起こすことがあります。

上部構造がハイブリッドセラミックの場合

ハイブリッドセラミックスは、レジン(プラスチック)とセラミック(陶器)を混合した素材で、見た目も天然の歯に近いです。また比較的費用も抑えることができます。もしも歯が欠けてしまっても、口腔内で修理ができる場合が多いというメリットもあります。

しかし、プラスチックでできているため、時間が経つと変色しやすくなります。

上部構造がオールセラミックの場合

金属を使用せず、全てがセラミックでできているので、より天然の歯に近い色を出すことができ、審美性に優れています。またセラミックは金属ではないので、金属アレルギーを引き起こす心配がありません。さらに摩耗することが少ないので、耐久性にも優れています。

しかし摩耗することは少ないものの割れやすいと言われています。

上部構造がメタルボンド(セラモメタル、陶材焼付鋳造冠)の場合

メタルボンドは、セラミックと化学的に接着する金属フレームを鋳造で製作し、外からは金属がほとんど見えないように水で練った陶材を築盛して、焼成、焼き付けたもので、微妙な色合いが再現できるため、見た目は天然の歯に近く、変色もしにくいという特徴があります。また強度も強く、どの部位にでも使用できます。さらに陶材自体にプラークが付きにくく衛生的と言われています。

しかし金属フレームの種類によっては、金属アレルギーを引き起こすことがあります。また、費用は比較的高いです。

上部構造がジルコニアの場合

ジルコニアは特に美しい歯の色を出せることや、歯ぐきと馴染んで見えるという点において審美性に優れています。また人体への安全性(生体親和性)が高く、整形外科の分野においても活用されています。また、金属を使用していないので、金属アレルギーの心配もありません。さらにジルコニアは柔軟性があるため、噛み合う際の、歯の負担がかかりにくいという特徴もあります。

しかし、他の素材と比べて費用が高くなります。

上部構造の固定方法

アバットメントと上部構造の装着法には、セメント合着式とスクリュー固定式の2つがあります。

セメント合着式は、術式(歯を作る工程)が比較的簡単で、対合歯とのクリアランス(人口歯を装着するための噛み合う側の歯とのスペース)やインプラント同士の平行性を考慮し歯を削ることができます。また、特別な部品が不要なため、比較的費用を抑えることができます。

上部構造にスクリュー固定のためのアクセスホールを必要としないため、審美性にも優れており、コンポジットレジン(虫歯を削ったところに詰める詰め物)の咬耗もありません。しかし、上部構造を外す必要がある場合、壊して外さなければいけません。また、装着する際に溢れてしまった余分なセメントがインプラント周囲の歯茎の中に入り込み、取り残してしまう可能性があり、取り残したセメントは後に細菌の発生源となり、インプラント周囲炎の原因になってしまうことがあります。さらに歯が割れたり欠けたりしたときに修正が難しく作り替えが必要になる場合があり、その際さらに費用がかかってしまいます。

スクリュー固定式は上部構造を壊さずに外せるので、比較的簡単に修正や調整ができ、アバットメントや上部構造も外して清掃することができます。また、インプラント同士の平行性に問題がある場合や、さらに長い期間により口腔内の状態が変化した場合も、歯数の変化に対応した上部構造の設計の変更も容易にでき、インプラント周囲部分の治療もおこなうことができます。またスクリューで固定ですることで、歯冠とインプラントとの接合部は、精密に適合することができるため細菌が滞留しづらく、インプラント周囲炎にかかるリスクが低くなります。

しかし、上部構造のアバットメントへの高い適合性が要求されるため、歯科医師の高度な技術や専門的な知識・経験が必要となります。もしも上部構造とアバットメントに間隙などが生じてしまった場合、プラークが侵入しやすく、スクリューの緩みや破折の原因となります。

上部構造の最適な素材選びをしていただくために

色々な素材の上部構造があり、装着法もセメント合着とスクリュー固定の2つがありますが、審美性に優れているから、価格が高いからといって全ての患者さんに適しているとは言えません。

どの素材が、どちらの装着法がご自身に最も適しているのか、大分県の歯科医師と相談をしていただくことをおすすめします。

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