歯の表面に白い斑点?「ホワイトスポット」とは

前歯の表面の一部が、斑点上に白く濁っていることがあります。これは「ホワイトスポット」と呼ばれ、「白斑症」ともいいます。ホワイトスポットは初期の虫歯によってできたり、歯の表面のエナメル質の成長過程において何らかの異常が起こることにより、一部が阻害されることでできる場合があります。

ホワイトスポットの原因

初期段階の虫歯

口腔内の虫歯菌が食べ物に含まれる糖(デンプン)を代謝して酸を産生することで、歯の表面のエナメル質からリン酸カルシウムが溶けだす「脱灰」が繰り返し起こることによって虫歯ができます。脱灰により歯の表面からミネラル成分が溶け出し、初期の虫歯ができてしまうと、歯のエナメル質は光沢を失い白く濁り始めて、ホワイトスポットができてしまう場合があります。放置することで虫歯は進行してしまうため、早期の段階で治療をおこなうことが大切です。

エナメル質形成不全

乳歯から永久歯に生え変わる際に、何らかの異常が起こることにより、エナメル質の一部が成長を阻害されたまま永久歯に生え変わることで、歯の表面の一部が白く濁るホワイトスポットができることがあります。これを「エナメル質形成不全」といいます。

エナメル質形成不全の原因として、乳歯の時期に怪我などの外傷があった場合に、生え変わる永久歯がエナメル質形成不全になることがあります。乳歯は抜けて永久歯に生え変わるからといって、トラブルが起こっても放置する方もいらっしゃいますが、乳歯にトラブルが起きていたまま永久歯に生え変わった場合、影響がでてしまう可能性もあるのです。また、幼少期に発疹や発熱を伴う疾患に罹患してしまい、抗生剤を服薬した影響や、栄養障害、遺伝などによってエナメル質形成不全になることも考えられています。

ホワイトスポットの治療法

虫歯の治療

ホワイトスポットの原因が初期の虫歯の場合は、虫歯を治療することで改善することがあります。治療においては歯を削ることはせずに、フッ素塗布やブラッシング指導をおこない、正しいブラッシングを身につけるとともに歯の再石灰化を促します。食事に歯磨きをおこなうことは、口腔内を清潔に保つだけでなく、食事によって酸性に傾いた口腔内を中性に戻す効果があるため、再石灰化が効果的におこなわれ、虫歯菌の増殖を抑制することができるのです。しかし、虫歯が進行してしまい再石灰化が間に合わない場合は、歯を削らなければならない可能性もあります。歯を削らないためには、なるべく早期の段階で治療をおこなうことが大切です。

ホワイトニング

ホワイトスポットが歯の表面の一部分だけであったり、範囲が小さい場合は、ホワイトニングをおこない歯を全体的に白くすることで、ホワイトスポットを目立たなくすることができます。ホワイトスポットは通常の歯の色よりも白いことから、ホワイトニングによってある程度の白さになれば、ホワイトスポットと元の歯の色との境目がなくなり目立たなくなります。ただし、ホワイトニングの効果は個人差があるため、元の歯の色やホワイトスポットの範囲によっては、ホワイトニングをすることで逆に目立つこともありますので、事前に歯科医院に相談することをお勧めいたします。

ダイレクトボンディング

虫歯が進行しており、再石灰化を促してもホワイトスポットが改善されずに残ってしまう場合や、エナメル質形成不全が原因である場合に、ホワイトスポットを薄く削って、歯と同じ色の補綴物であるレジン(プラスチック)を詰めることで、歯の色を改善する治療方法をダイレクトボンディングといいます。短期間で治療できるというメリットがありますが、使用するレジンは素材の特性上、脱離しやすかったり経年劣化による着色がしやすいことから、数年後に再度作り直すことが必要になることがあります。

歳をとると歯が黄色くなる?歯が変色する原因
歳をとると歯が黄色くなる?歯が変色する原因
歯が黄ばむ原因 歯が黄ばむ原因は人それぞれ違います。また、歳をとると体が衰えていくように、歯も歳をとります。エナメル質の内側の層である象牙質は、本来なら淡いクリーム色をしていますが、肌の老化と同じように新陳代謝が低下することによって徐々に色が濃くなってしまう場合があります。また、歯の表面のエナメル質は、年齢とともに少し...

ラミネートベニア

ラミネートベニアは、目立ちやすい前歯の表面を0.3mm~0.5mm程度削って、セラミックでできた薄い板を付け爪のように特殊な接着剤で貼り付けることにより、歯の色や形をキレイに整える施術方法です。審美性・機能性の高い素材である「セラミック」を使用することで、希望に合わせた白さや明るさの歯にすることができますし、「すきっ歯」のような不正咬合(悪い歯並び)に対しても、キレイに歯並びを整えることも可能です。そのため、ホワイトスポットの範囲が多い場合や、虫歯のために歯を削る必要がある場合に効果的です。ただし、ラミネートベニアは保険適用外治療(自由診療)となり、前歯にしか対応することができません。また、歯ぎしりや食いしばりの癖があったり、虫歯が進行して歯の表面に大きく穴があいている場合は、治療ができない可能性があるので注意が必要です。

まとめ

ホワイトスポットは原因によって対処方法が異なります。また、ホワイトスポットがコンプレックスの原因になっている場合もあることから、近年では治療を希望する方も多いです。治療の際には、ご自身の治療方法の希望をしっかりと大分県の歯科医師に伝えるようにしましょう。

おすすめの記事
インプラントの費用は?
インプラントの費用は?
インプラントをご検討の方で、費用を調べたり、歯科医院に尋ねた時に高額な費用にびっくりしたことはありませんか? 歯科治療において保険が適用されるのは、「歯の健康を保つための必要な最低限の治療」に限定されることから、歯を失った際に歯の機能や見た目を回復するインプラントは基本的に保険適用外治療(自由診療)となります。またイン...
殺菌水による歯科治療
殺菌水による歯科治療
近年、歯科医院によっては院内感染予防対策や歯周病治療のために、給水ユニットにエピオス エコ システムを導入している医院があります。エピオスウォーター(POICウォーター・ポイックウォーター)を院内のコップ水から手洗い水まで、すべての場所で使用することで、ほぼ全ての細菌・ウイルスの殺菌が可能です。エピオスウォーターの生成...
多くの歯をなくした方のためのインプラントオールオン4
多くの歯をなくした方のためのインプラントオールオン4
オールオン4とは オールオン4とは、連結した人工歯を最小限のインプラント体で固定する治療法で、多くの歯、もしくは歯を全て失ってしまった方、総入れ歯が合わなくなってしまった方に適したインプラント治療の術式です。歯を全て失ってしまった方が従来のインプラント治療をおこなう場合、歯の噛む機能を回復させるために埋入しなければなら...
インプラントの寿命
インプラントの寿命
第2の永久歯と言われる理由 抜けた歯を補う治療法として永久歯を失った場所に人工歯根を埋入することで、本来の歯の機能を取り戻すインプラント治療は、機能性・審美性ともに優れた治療法です。しかし、治療の質やインプラント埋入後の過ごし方によってはその寿命を縮めてしまう恐れがあります。第2の永久歯といわれるインプラントの寿命や、...
インプラントの通院期間と回数
インプラントの通院期間と回数
インプラントの治療期間、通院回数や手術時間について 大分県でインプラント治療を受けるとき、費用面だけではなく通院回数や通院期間がどのくらいかかるかも気になっていると思います。「インプラントで普通に食事ができるまで、結局どれくらいの期間がかかるんだろう……」と疑問をお持ちではありませんか?インプラント治療は1日で終わるこ...
咀嚼(噛む事)の重要性
咀嚼(噛む事)の重要性
近年、私たちの食事は昔とは違い、柔らかい食べ物などが多くなったことから咀嚼の回数が激減してしまっていることが問題になっています。 咀嚼の回数が減ることによって、体に様々なトラブルなどが起きてしまうことがあります。逆に咀嚼の回数が増えることが体調の改善につながるということが分かっています。では咀嚼によってどのようなことが...
サイナスリフト
サイナスリフト
サイナスリフトとは 歯を失ってしまった時のためにインプラントという治療法がありますが、インプラント治療の際、患者さんの骨の状態によっては十分な骨の幅や高さがなくて、インプラント治療ができない場合があります。特に上顎の骨の上(眼下の顎骨あたり)には上顎洞(じょうがくどう)と呼ばれる大きな空洞があり、上の奥歯を失ってしまっ...
インプラント治療は痛くないのでしょうか?
インプラント治療は痛くないのでしょうか?
インプラント治療を考えているけれど、痛みが心配でなかなか治療に踏み出せない方も多いのではないでしょうか。メリットの大きい治療法ではありますが、手術が必要になるために手術や術後の「痛み」がどの程度あるのかということは、一番気になることではないかと思います。 インプラント手術は痛みを伴うのか、痛みはどの程度継続するのかにつ...
親知らずの知識とケア方法
親知らずの知識とケア方法
親知らずとは 親知らずとは、前から数えて8番目の永久歯の一番奥に生える歯で、第三大臼歯といいます。親の手を離れた頃に生えてくることから、親知らずや智歯と呼ばれます。生えてくる時期は、一般的に17~21歳頃に生えてくるのですが、個人差があり、中には生えてこない人もいます。生え方にも特徴があるために、場合によっては口腔内の...