血友病患者の歯科治療

血友病とは

血液は血管を通って、体中を巡っています。血管には、静脈、動脈と毛細血管があり、これらの血管が破損してしまうと出血が起こります。出血は皮膚の切ったり擦り傷の場合の表面、または打ち身などの内出血の場合は体の中で起こり、多くの場合は体は血液が固まる過程である、凝固により傷ついた血管を修復することができます。血友病とは遺伝性の血液凝固(出血した時に血が止まりにくい・固まりにくい)障害で、止血に通常より時間がかかるために出血症状がみられます。

血液凝固に必要なフィブリンをいうタンパク質がないか、またはフィブリンが少ないために起こります。血友病は血友病に関連する遺伝子をもつ人が発症する病気で、患者さんのほとんどが男性です。昔から「王家の病気」ともいわれ、英国ヴィクトリア女王にはじまるヨーロッパ王族の血友病は歴史的にも有名です。

血友病はなぜ男性が多いのか?

父親の目の形が似ていたり、母親の髪の色が似ていたりなどと、人の遺伝を決めているのが遺伝子で、身体の中でタンパク質をつくるときに遺伝子がどんなものをどれだけつくるのか指令を出しています。人の遺伝子は23組、計46本の染色体という形で細胞の中に存在しています。子供は、父親と母親からそれぞれ23本の染色体を受け継いで産まれてきます。

人の性別は、XとYという染色体の組み合わせで決まっており、XYであれば男性、XXであれば女性になります。血液凝固因子の第Ⅷ(8)因子と第Ⅸ(9)因子をつくるよう指令を出す遺伝子は、X(10)染色体上にありますが、この遺伝子に変異があると指令を出すことができずに、第Ⅷ因子や第Ⅸ因子がうまく作れなくなってしまうのです。これが血友病です。もしも母親から遺伝子変異のあるX染色体をもらった場合、女性の染色体はXXなので父親からのX染色体もあるために、通常は血友病を発症しませんが、男性は染色体がXXなため、X染色体が1つしかないことから、血友病を発症してしまうのです。そのため、血友病は男性が多いのです。

血友病患者の歯科治療

早期の歯科医への受診と日頃の歯のお手入れ

血友病の人は、高齢になる前に歯を失う人が多いといわれています。なぜならば、出血が心配で歯みがきをしっかりできていなかったり、治療時の出血を恐れて歯科で治療をおこなわない傾向があるため、虫歯や歯周病が重症化してしまうのです。しかし、きちんとお手入れされた歯茎は歯みがきなどで出血することはありません。

また、虫歯や歯周病は早めに受診することで出血するような治療を受けずにすみます。さらに出血するまで気がつかないような病気の進行も防ぐことができます。血友病患者さんは特に、歯科と日頃の歯のお手入れに親しんでいただきたいのです。

予備的補充療法

歯科治療は手術を必要としない治療と、手術で歯茎を切開しないといけない治療法があります。血友病患者さんの場合、手術で歯茎を切開した際に血液凝固障害のため、止血するのに普通より長く時間がかかってしまうことがあるため、手術・処置の前に血液凝固因子製剤を注射することで、出血を未然に防ぐ方法のことを予備的補充療法といいます。

治療の際の製剤の必要性(永久歯の治療の場合)

虫歯の治療の場合、歯を大きく切るということはまずありません。また、歯の根の治療も出血しても止血は十分可能です。ただ、歯を抜いたり、歯茎が腫れてしまったため切って膿を出すような外科治療では、やはり製剤や薬剤の投与をしておいた方が安心です。

血友病患者と歯科治療(お子さんの場合)

お子さんの歯に十分気を付けることは、出血の予防につなが非常に大切です。哺乳瓶を長く使用したり、赤ちゃんの時からジュースやイオン飲料を飲む習慣をつけてしまうことは、虫歯の原因になってしまう場合もあります。乳歯は6歳から12歳くらいにかけて生えかわりますが、抜けた時にも大抵はすぐに止血することが多いのですが、もしも歯が生え変わる時に出血したら、綿ガーゼを丸めて噛ませてあげて、ブクブクうがいはさせないこと、そして2、3日の間は柔らかいものだけ食べさせて、2時間以上出血が止まらない場合は凝固因子の補充が必要な時があるため、大分県のかかりつけの主治医や血友病治療施設にアドバイスを求めてください。

歯が生え始めたら、小児歯科の受診をお勧め致します。適切な歯科治療と定期検診がとても重要なのです。また歯科医師に血友病のことをお話し、事情を知ってもらった上で治療していただくのが一番安心です。しかし血友病のことを十分理解している歯科医は正直少ないのが現状で、不安がられたり、拒否されることがあります。歯科医にどう伝えるか、悩む患者さんも多く、血友病のことを伝えないことを選ぶ患者さんもいます。その場合は、主治医に相談して歯科治療の際、どの程度の準備をしたら良いか尋ねてください。もし家庭治療ができて、製剤を事前に投与すれば大丈夫といわれたら、毎回、歯医者に行く30分前に製剤を投与し、通院する事もできます。途中で不具合があれば、すぐに主治医の先生に相談してください。

歯科医師に血友病のこと伝えておきたいという場合は、主治医の先生に紹介してもらうのが最も安全で確実ですが、血友病であること、血が止まりにくいだけなので、抜歯などの前に凝固因子製剤を打つことや、治療後に止血剤を服用するといった程度であり、それ以上の特別な用心は要らないことを伝えた上で、お気持ちのある歯科医であれば、この内容で対応してくれますし、ここで難色を示すようなら無理をされず、別の大分県の歯科医院で対応していただける医院をあたった方が良いかもしれません。

血友病と歯科治療

血友病は歯科治療にとって、そう特別なものではありません。虫歯ができてから慌てて駆け込むのではなく、普段から歯の衛生管理を指導してもらえる大分県のかかりつけ歯科医をつくり早期発見・早期治療に努める事が、トラブルをなくす上で非常に重要なのです。

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