味覚障害

味覚障害

私たちの生活に欠かせない食事。それを美味しく食べることは、毎日の楽しみの一つでもあります。そのために大切な役割を果たしている味覚。この味覚になんらかの異常があると、味が分からなくなったり、常に口の中に苦味を感じたりしてしまうなど、食べることや飲み込むこと自体が不快に感じるだけではなく、味が分からないため腐ったものでも口のしてしまう危険性もあります。味覚の異常はこのように様々な問題が出てくるのですが、視覚や聴覚と比べて社会生活に直接支障がないので、以前はそれほどまでに重要視されてはいませんでした。しかし、近年では高齢社会やストレスの増加などによる、味覚の異常を感じる方が増えています。

味覚障害の原因

味を感じる細胞の集合体を味蕾(みらい)といい、この味蕾は舌や軟口蓋に多く分布しています。有郭乳頭という舌の後方部には多くの味蕾があります。味覚は、食べ物を噛むことで唾液と混ざった食べ物などを味蕾から感知し、神経を通じて脳に味を伝達します。しかし脳への伝達までに、どこかで何らかの異常が起こると味覚障害が発症します。

また、味蕾の数は高齢になると半分以下に減少しまいます。歳をとると味付けが濃くなりやすいのはこの味蕾の減少が原因といわれています。

味には、甘味・塩味・酸味・苦味の基本4味があります。舌先では甘みを感じ、中央にかけて塩味、苦味を感じます。苦味は舌後方とで感じるといわれていますが、厳密なものではありません。

味覚障害の原因

味覚障害が起こる大きな原因としては、主に血液中の亜鉛不足です。味蕾は短い周期で新しい細胞に生まれ変わります。その際多くの亜鉛を必要とします。そのため亜鉛の不足によって細胞が生まれ変わることがうまくできなくなり味覚障害を引き起こしてしまいます。亜鉛不足には高血圧や糖尿病、腎疾患などの全身疾患の合併症や、抗癌剤や放射線治療、降圧剤、抗うつ剤に伴う薬の副作用からの味覚障害(薬物性味覚障害)や、無理なダイエットなどからの貧血、さらにファーストフードや加工食品などに含まれる亜鉛を体内から排出してしまう添加物が原因となります。

その他にも舌炎や風邪による咽頭炎や喉の病気や、シェーグレン症候群などによる唾液分泌の低下によって口腔内の乾燥、慢性中耳炎がある場合、顔面神経麻痺、さらに味は中枢神経で感知されるため、脳梗塞や脳出血などにより脳細胞が障害を受けることでの頭部外傷や脳血管障害により味覚障害を発症することがあります。

味覚障害と歯の関係

味覚障害は歯とも関係しています。歯を失ってしまった場合に、代わりの歯として入れ歯を選択する方も多いのですが、入れ歯することによって今まで食べてきた食べ物の味と違うと感じる方も多くいらっしゃいます。

その理由として、レジン(プラスチック)でできた入れ歯を使用していると、飲食物の水分の一部をレジンが吸収しまうため、最初の飲食物の味が歯の中に残ってしまい、後から口に入れた物の味を混ざってしまうことがあるのです。その反面、入れ歯ではなくインプラントにした場合、インプラントの素材はチタンで作られることが多いため、味を損なうことがほとんどありません。

また噛み方によっても味は変わります。飲食物の味を判断する場所は歯ではなく舌などにある味蕾なのですが、入れ歯にすることで今までと噛み方が若干変化してしまうことがあり、舌に正確な味覚が伝わりにくくなってしまう場合があります。そのため歯全体をバランス良く使い、しっかりと噛み砕いて食べる癖を付けることで、本物の歯と変わらない味覚で過ごすことも可能になります。

また、入れ歯が馴染んでくれば,食物の咬む感覚がわかるようにもなるため,粘膜にも適切な圧力がかかるようになり、唾液と混ざった味覚物質が広く拡散して味蕾に到達しやすくなります。入れ歯を入れたばかりの時は味覚に変化が生じても,慣れることでその問題がなくなっていく場合もあります。

しかし場合によっては、入れ歯自体を脳が異物であると認識したまま使用し続けることによる様々な感覚の鈍化により、味覚障害を引き起こしてしまうこともあります。

味覚障害の治療と予防

味覚障害の治療は、薬物療法と食事療法が中心となります。体内で鉄に次いで多い微量金属である亜鉛の不足がみられるときは、亜鉛を含んだ薬剤が処方されます。味覚障害の状況によっては、抗不安薬や漢方の使用も検討されます。生活習慣病を予防することも味覚障害を予防することと大きく関わってくることから、適切な治療を受けることが重要です。さらに普段の生活から亜鉛を多く含む食品を食べるようにすることが大切です。また、摂取した亜鉛が効果的に体内に取り込まれるように、ビタミンCや動物性タンパク質を合わせて摂取するようにしましょう。

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