インプラント治療ができないと言われたら

過去にインプラント治療を断られた、またはインプラント治療に失敗した方

インプラントが出来ないと言われた方やインプラント治療に失敗した方の理由は様々ですが、「骨不足でインプラントが出来ない」「骨粗しょう症など骨の密度が低い」というケースが多いと思われます。このような場合は、骨移植やGBR(骨誘導再生療法)、頬骨インプラント療法(Zygoma implant)を用いて治療を行います。

骨移植の場合、骨はインプラントを入れる部位以外の顎の一部から骨を移植する事が殆どで、その部位として下顎の前の部位や下顎の奥の骨の移植が比較的に簡単にできるため多く行われます。骨移植して六ヶ月間待った後、インプラントを埋入すれば通常通りにインプラントの埋入ができます。骨を移植した骨の部位は、時間が経てばまた骨が再生し元に戻ります。欠点として1~2週間ぐらいは患部が腫れたりして不快に感じる事がありますが、今までインプラントが出来ないといわれた人でもインプラント治療を受けることが可能になります。

サイナスリフト

上顎の臼歯部はインプラントを埋入しにくい部位です。理由は上顎の臼歯部のすぐ上に大きな空洞(上顎洞)があるからなのですが、これを解決する方法として上顎洞挙上手術が一般的となります。上顎洞挙上手術には「側方アプローチ法」と「歯槽頂アプローチ法」があります。どちらの方法で行うかは残っている骨の量で決まるのですが、目安としてはレントゲン上で上顎洞底部から骨が5mm以上あれば歯槽頂アプローチ(ソケットリフト)、5mm以下なら側方アプローチ(サイナスリフト)を選択します。

移植する骨は一般的な口腔内から採取する方法(自家骨移植)以外にも人工骨(ハイドロキシアパタイト)を使用する方法、自家骨と人工骨をブレンドする方法があります。自家骨と人工骨をブレンドする方法の場合には高濃度血小板PRP(Platelet Rich Plasma)を使用する事もできます。インプラントの長さは最も短いもので8mmあり、上顎の幅が3mmや4mmなど極端に短い場合はこのような骨移植を行なうことでインプラントを入れることができます。この手術を行うことにより長期的に安定した噛み合わせを保つことができます。

GBR(骨誘導再生)法

Guided Bone Regenerationの略である「GBR(骨誘導再生)法」とは欠損した歯槽骨や顎骨などの骨組織の再生を促す治療方法です。インプラントを埋め入れるために十分な骨の量がない場合などに利用されます。歯が抜けてしまったり歯周病などが原因で歯槽骨が痩せてしまうとインプラントを埋め入れるために必要な骨の量が足りなくなります。また、歯を失ってから時間が経過している場合には周囲の歯槽骨がさらに吸収され骨が痩せてしまいます。

【GBR治療の流れ】

[Step1/インプラントを埋め入れます]
歯槽骨の吸収が著しいためこの時点ではインプラントの表面も露出しています。

[Step2/自家骨または骨補填剤を入れて人工メンブレンで覆います]
GBR法の場含はGTR法のように歯根膜の再生は必要あリません。再生させたい組織は骨だけなのでインプラントを支柱にして生体材料でできた人工メンブレン(専用の膜)で覆うことが出来れば骨の誘導再生が可能です。また、人工メンブレンは歯肉などの軟らかい線維性の組織細胞の混入を防ぎます。人工メンブレンが動かないように固定用のピンを使用する場合もあリます。

[Step3/歯肉を戻し、骨の再生を待ちます]
人工メンブレンの設置が完了したら歯肉を元に戻して骨の再生を待ちます。この期問は術部に必要以上の刺激を与えないよう注意が必要です。骨の再生速度には個人差がありますが一般的には4~6ヵ月程度で再生されると言われています。

[Step4/人工の歯を装着します]
骨が再生されインプラントがしっかり固定されたら人工の歯(上部構造)を作製して装着します。新しく骨が再生されたことで歯肉も滑らかな美しい形状になります。

治療に伴うリスクとしてGBR等による骨の造成が行われた部位の急激な吸収は骨粗しょう症の薬による副作用の場合があります。

ザイゴマインプラント(Zygoma implant)

通常のインプラント治療が歯槽骨か顎骨に埋入されるのに対し、ザイゴマインプラントは頬骨(ザイゴマ)に埋めるインプラントです。また、上顎においてオールオン4インプラントシステムが適応できないほど顎骨が萎縮しているケースに対して頬骨(ザイゴマ)にインプラントを埋入し即日機能させるインプラントシステムです。ザイゴマインプラントシステムは1998年にブローネマルク氏が考えたコンセプトにより商品化されましたが、その後Dr.モイやDr.マロが上顎洞の外側を通す方法などを考案し現在に至っています。

従来のインプラントは歯が無い(歯茎が痩せている)、もしくは歯があってもグラグラで咬めない人に対してインプラント体を骨に埋めてから三~六ヶ月待ってインプラントが骨と結合してから人工歯をインプラントと固定するという手法をとってきました。上顎において骨が無い場合は上顎洞の中に人工骨を入れ(サイナスリフト)、六ヶ月程経過してからインプラントを埋入してさらに六ヶ月程待つという最初の手術から1年以上経過してから初めて歯が入る長い道のりでした。

オールオン4インプラントを行うようになって90%の患者様はサイナスリフトを行わなくてもインプラント手術をした当日に固定式の歯を装着することが可能になりましたが、前歯部の骨が少ない10%の患者様は六ヶ月以上待つ必要がありました。しかしザイゴマインプラントは頬骨にインプラントを埋入する事で全ての患者様に対して手術をした当日に固定した歯を装着出来ます。

おすすめの記事
インプラントの費用は?
インプラントの費用は?
インプラントをご検討の方で、費用を調べたり、歯科医院に尋ねた時に高額な費用にびっくりしたことはありませんか? 歯科治療において保険が適用されるのは、「歯の健康を保つための必要な最低限の治療」に限定されることから、歯を失った際に歯の機能や見た目を回復するインプラントは基本的に保険適用外治療(自由診療)となります。またイン...
インプラントで生活が変わる -男性編
インプラントで生活が変わる -男性編
急な事故や怪我によって歯を失ってしまった際に、歯の機能や見た目の美しさを取り戻す治療法として、インプラント治療があります。他の補填治療方法として、「入れ歯」や「ブリッジ」などがありますが、インプラント治療は他の補填治療と比較した場合、様々なメリットがある治療方なのです。 見た目の印象が変わることで自信が持てる インプラ...
抜歯後のベストな選択とは?
抜歯後のベストな選択とは?
虫歯や歯周病、事故などの外傷によって抜歯をしなければならない場合もあります。その際に、同のような治療を選択することが一番良いのでしょうか。 抜歯後の治療方法 インプラント 人工歯根であるインプラント体を顎の骨に埋入する外科手術が必要となります。インプラントは、チタン製のインプラント体が骨としっかりと結合する「骨結合」に...
歯が溶ける?酸蝕歯とは
歯が溶ける?酸蝕歯とは
虫歯や歯周病は進行してしまうと歯を失ってしまう大きな原因です。そのほかにも歯を失う原因の一つとして、酸性度が強い柑橘類や酢、炭酸飲料などを食べたり飲んだりすると、酸によって歯が溶け出してしまう酸蝕歯があります。歯の表面のエナメル質からリン酸カルシウムの結晶が溶け出してしまうのです(脱灰)。このように酸蝕歯になってしまう...
どこが違う?インプラントと天然歯
どこが違う?インプラントと天然歯
インプラントは、失った歯の見た目や機能を天然の歯のように回復することができるため、治療によって歯が元に戻ったと思う方もいらっしゃいます。見た目の美しさといった審美面は、場合によっては治療前よりも良くなることがあります。しかしながら、天然歯と比較すると、インプラントは様々な点でどうしても劣ってしまうのです。インプラントと...
サイナスリフト
サイナスリフト
サイナスリフトとは 歯を失ってしまった時のためにインプラントという治療法がありますが、インプラント治療の際、患者さんの骨の状態によっては十分な骨の幅や高さがなくて、インプラント治療ができない場合があります。特に上顎の骨の上(眼下の顎骨あたり)には上顎洞(じょうがくどう)と呼ばれる大きな空洞があり、上の奥歯を失ってしまっ...
舌に関する疾患
舌に関する疾患
舌の役割と仕組み 私たちが食べ物を食べたり、飲み物を飲んだりする際に味を感じます。 その味を感じる「味覚」は主に舌で感じているのです。さらに舌は味覚を感じる役割のほかにも、食べ物を飲み込むのを助ける役割をしたり、唾液を分泌させることにより、唾液に含まれる消化酵素が食物と混ざることで消化器官の負担を軽くするという役割も持...