予防歯科

今までは、歯医者さんに行く=虫歯になったから治療してもらう、もしくは歯が痛いなどといった口腔内の異常がある、といった症状が悪くなってしまってから歯科医院に行く場合が多かったのですが、この考えは海外から見た場合、歯に対する意識が低いと思われてしまうのです。海外の中でも特に欧米では、歯に対する意識は非常に高く、歯科医院に行く理由は、歯を治療するのでなく虫歯にならないための予防のために行くというのです。歯科治療において、日本は保険が適用されますが、アメリカでは歯科治療は保険が適応されないという観点からも、歯に対する意識の違いもあると言えます。

さらに治療した歯は、症状によっては削ったりするため、元の健康で天然の歯に戻ることはできません。また、削られたり詰め物をした歯は、健康な歯よりも寿命は短くなってしまいます。さらに、虫歯になってから治療するという考えのままだと、また虫歯になってしまうリスクも当然高くなってしまいます。

これからの歯科医療は、虫歯や悪くなった歯を治療するというのではなく、健康な状態の歯をできる限り長く維持するための歯の予防(予防歯科)が重要だと考えられています。20歳の日本の成人の方で、全て健全な歯を維持している人はたった4%しかいません。さらに疫学調査によると、歯周病にかかっている方は増加傾向にあり、80歳で全く歯を失ってしまい、総入れ歯の方は全体の60%もいるのです。子供の歯も例外ではありません。予防歯科の先進国であるフィンランドの子供の虫歯の数に比べると、日本の子供の虫歯の数は約4倍になっており、予防歯科の重要性が結果としても表れているのです。

それでは、予防歯科とはどういったことをおこなうのでしょうか。ご説明いたします。

予防歯科でおこなうこと

PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)

PMTCとは、歯科医院の専門家による口腔内のお手入れのことです。毎日の歯磨きなどの。ご自身でのお手入れをいくら丁寧におこなったとしても、隅々まできれいに歯垢(プラーク)やバイオフィルムなどの細菌を取り除くのは難しいとされています。そのため、歯科医院でのPMTCが重要になってきます。PMTCによって、プラークやバイオフィルムを取り除くことができるため、虫歯や歯周病の予防や口腔内を清潔にすることが可能です。さらにステイン(着色)を除去することで、光沢のある歯の表面に回復されることができます。また、フッ素入りの研磨剤を使用することにより、歯の再石灰化を促進し歯質を強化することも可能です。PMTCは決して痛いというものではなく、むしろ心地良いと感じられる方も方が多いです。

カリエスリスクテスト

カリエスリスクテスト(唾液検査)は、虫歯や歯周病など、口腔内で様々な働きをする唾液を検査することで、虫歯のきっかけとなるミュータンス菌の数や、虫歯を進行させるラクトバチラス菌の数、連鎖球菌の酸産生能を測定する他、唾液の緩衝能や飲食の回数、プラークの蓄積量などを必要に応じて調べることができます。カリエスリスクテストによって、適した虫歯予防の対策を立てることが出来るため、予防歯科に繋がるのです。

3DS

3DSは、虫歯の原因菌であるミュータンス菌を除去するための方法です。歯だけに薬を使用することができれば、虫歯菌だけを除菌させることができます。方法として、PMTC後の歯にドラッグリテーナーと呼ばれる専用のマウスピースに薬剤を塗布して装着することで除菌していきます。この方法は、今後の虫歯の原因菌を限りなくゼロにすることがきる除菌法として期待されています。また、3DSで歯周病の原因菌を取り除くことで口臭予防にも繋がります。

治療歯科から予防歯科へ

今までの、歯が悪くなってから歯医者で治療するという考え方から、歯が悪くなる前に歯医者へ行って予防するというのでは、最終的な残存歯数が大きく変わってきます。1989年に、当時の厚生省と日本歯科医師会が8020運動(80歳になっても健康な歯を20本残そうという運動)を始めました。日本における8020運動は、30年ほど経った今でもまだ達成するためにはかなりの年月が必要だと言われており、スウェーデンやアメリカなどの予防歯科の先進国にもかなり遅れを取っています。8020運動の達成のためにも、質の高い定期的な歯科医院でのメンテナンスが重要なのです。

健康な歯をいつまでも保つということは、身体の健康にも繋がっています。歯が不便だと食の自由も奪われる事になり、快適な生活もできなくなってしまいます。QOL(生活の質)の向上のためにも、3~6ヶ月に1度は大分県のかかりつけの歯科医院でのメンテナンスを受けることをお勧めいたします。

 

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