舌癌について

口の中に出来る癌「口腔癌」

あまり耳にしたことがないかも知れませんが、口の中にも癌はできます。口の中の全体を口腔といい、口腔内にできる癌を口腔癌といいます。口腔癌の中でも最も発生しやすいのは舌癌です。

舌は、全体の2/3は前の部分の「可動部舌」と、残りの1/3の奥の部分を「舌根部」と分けます。舌根部は解剖学的には舌中咽頭に分類されるため、舌癌という場合の舌の部分は、口を開けて普通に鏡で見える範囲の、舌全体の2/3の前の部分となります。口腔癌自体は癌全体の2~3%くらいと多くはないのですが、近年、増加の傾向がある癌なのです。

舌癌とは

舌癌とは、舌にできる癌のことで、口腔癌の中でも最も発生しやすい癌です。舌癌は舌の先端にできることはほとんど無く、舌の側面にみられることが多いです。口を開けて鏡で見るとご自身でも分かるため、早期に発見することができるため、専門の医療機関を受診する方が多いのですが、場合によっては気付いたときにはすでに時に頸部リンパ節に転移してしまっていることもあります。また舌癌は男性に多くみられ、年齢では50歳代後半くらいの方が最も多いのですが、中には20歳代から30歳代の方にも時々みられます。

舌癌の症状

舌癌の初期症状は、舌の両側の縁の部分に白く硬いしこりができます。しかし、初期の舌癌は口内炎とも似ているために、正確に舌癌と見極めることが難しい場合もあります。その際、処方された塗布薬などを2週間ほど使用しても、口内炎のようなしこりが治らないようであれば、舌癌の疑いもあるため専門の病院に相談しましょう。舌表面がザラザラして、しこりが触れるほどになっているときは、特に注意が必要です。

舌癌が進行すると、しこりは潰瘍になり、痛みや出血が持続的に起こります。さらに強い口臭といった症状がみられます。舌癌は表面上の変化が生じることで分かることもありますが、場合によっては症状が分かりにくいことがあります。その場合、転移の症状が先に出ることもあり、首のリンパ節の腫れなどの症状がみられることがあります。

舌癌の原因

喫煙や飲酒

舌癌は喫煙や飲酒から大きな影響を受けます。舌を含む口一帯から胃などは、お酒の通る場所に沿って癌が発生する可能性があるのです。舌癌の場合は、タバコの煙やお酒が舌を通ることで、癌が発生リスクが高くなるといわれています。さらに、消化器系の悪性腫瘍のリスク因子も喫煙や飲酒などであり、舌癌と診断された場合、消化器系の癌を併発していることもあります。舌癌の治療を行った後も、再発や新たな癌の予防として、禁酒・禁煙をしていただくことが望ましいです。

歯の刺激

歯並びが悪かったり、破損してしまった金属の被せ物などをした歯が、常に舌にあたるといった慢性的な刺激によって、舌に潰瘍や小さなしこりができてしまいます。その刺激が長期間続くことにより、それが誘因となり癌が発生すると考えられています。

過度な刺激

熱い食べ物による火傷や、舌への度重なる過度な刺激が誘因となることもあります。また、辛い食べ物や酸味・アルカリ分の強いもの、高塩食品などの刺激の強い食べ物も口腔内の粘膜を損傷する可能性があるため、舌癌の発生リスクを高めることになる場合があります。

舌がんの診断・検査

舌癌の診断は、組織診断が必要となるため、しこりの一部からの細胞を採取して、顕微鏡で観察する病理学的検査を行います。しこりが小さい場合は、全てを切り取って診断と治療を同時に行うこともあります。

舌癌と診断された場合、病変の根の深さや、どの程度まで広がっているかを確認することも重要となります。そのため超音波検査やCTスキャン、MRIなどの画像検査を行い、今後の治療方針を検討します。頸部に転移している場合にはPET検査(陽電子放射断層撮影)を行い、これらの検査結果を総合的に判断し、病期分類(ステージ分類)を行います。

さらに舌癌の発生と同時に、喉や食道、胃などの消化器系に癌が重複して発生している場合があるため、上部消化管内視鏡検査で確認を行うこともあります。

舌癌の治療

舌は言葉を作る働きをします。そのため舌の働きが悪くなると、言葉がハッキリと発音できなくなり、ろれつの回らない話し方になります。さらに、舌の表面に味覚を感じる味蕾(みらい)があり、食べ物を食べた際の味は主に舌で感じています。また、舌は口の内で咀嚼された食べ物を、唾液と合わせて消化を助けたり、飲み込んだりする働きをします。そのため、舌の働きが悪くなってしまうと、飲み込むことが容易にできず、食べ物が喉頭から気管に誤嚥しやすくなったり、咀嚼も上手くできなくなります。

このように舌は重要な役割を持った器官のため、可能な限り機能を温存した治療方法を行うことになります。舌癌の治療方法のほとんどは切除手術による治療ですが、患者さんによっては合併症のリスクがある場合があるため、手術が行えないこともあります。この場合には放射線による治療を行います。また、抗癌剤による化学療法もこれらの治療との組み合わせで行われることがあります。

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