顎関節症とは

顎関節症の概要

顎関節症とは顎の関節や顎を動かす咀嚼筋に異常が起こり「あごが痛い」「口が開きにくい」「音がする」あるいは「物が噛みにくい」といった症状が現れる病気です。調査の結果から顎に何らかの症状を持つ人は全人口の7~8割にも上るとされていますが、この内で病院で治療を受けている人は7~8%程度です。実際には顎関節の症状を抱えている人に男女差は無いのですが患者さんは女性が多く男性の2~4倍程となります。年齢は10歳代後半から増加しますが20~30歳代で最大になり、その後は年齢が増えるとともに来院する患者さんは減少します。病院を受診する動機としては顎関節の痛みを訴える人が圧倒的で関節周辺や頬、こめかみが痛む場合もあります。女性の患者さんが多い理由として、女性は顎の筋力が弱い、また筋肉の血液循環が悪いといったことが考えられています。

また、女性の方が痛みを感じやすいが痛みが強くても耐えられるため、自然には回復不可能な状態になった結果として病院を受診せざるを得ない状態になるということが考えられます。顎関節症はかなり一般的な病気であり、多少の症状は特別な治療をしなくてもやがて改善に向かい自然に治まることも多いです。しかし、痛みや口が開けづらい、物が食べにくい等の症状によって日常生活に支障があれば病院で治療を受けるべきでしょう。

顎関節症の主要な症状

顎関節症という診断名は、ある特定の病態、原因、症状を示すものではなく、多様な症状、病態、原因からなる顎関節と咀嚼筋および頚部筋の障害をまとめた病名です。顎関節症の第一の症状は顎運動時痛です。開口、閉口運動時や咀嚼時に下顎頭が動くことによる顎関節痛と咬筋、側頭筋などの咀嚼筋が活動することにより痛みが生じます。患者さんは顎関節痛と筋痛を区別して訴えることができないので治療にあたっては鑑別診断します。顎関節痛が起こる主な病態は顎関節周囲の軟組織の慢性外傷性病変です。

滑膜炎、関節包あるいは円板後部結合組織における細菌感染のない炎症です。下顎頭と接するこれら組織に炎症が生ずると神経が過敏になり顎運動時に下顎頭の動きにより刺激されて痛みが生じます。また、筋痛は様々な病態によって生じます。最も一般的な病態は筋・筋膜疼痛で頭頚部および口腔顔面領域の持続性疼痛の最も一般的な原因でもあります。筋・筋膜疼痛の特徴は局所的に鈍く疼くような痛みとトリガーポイントの存在で筋肉を機能させると痛みが増します。活動的な状態のトリガーポイントを圧迫するとジャンピングサインと呼ばれる逃避反応が生ずるほどの鋭い痛みを局所に生ずるとともに離れた部位に関連痛が生じます。次に開口障害という症状があります。通常の場合、病気がなければ自分の指の人差し指から薬指まで3本を縦にして口に入ります。その時の開口量が約40mmとなっており最大開口量が40mm以下の場合には顎関節、咀嚼筋に何らかの異常があると考えるべきでしょう。

開口障害の原因には筋性、関節円板性、関節痛性、癒着がありますが、突然に開かなくなったときには関節円板の転位によるものです。また、知らないうちに徐々に開かなくなっているのは筋性と言えるでしょう。開口障害の原因を診断することは簡単ではありませんが、基本的診査として下顎頭が正常に前方に滑走するかどうかを調べて滑走できるならば次に最大開口時に左右いずれかの咬筋が強く緊張していないかどうかを診査します。下顎頭に滑走制限がある場合には関節円板性、癒着性が疑われ、下顎頭は滑走するが開口制限がある場合には筋性が疑われます。もう一つの症状に関節雑音というものがあります。咀嚼や大開口時などにカックンとかガリガリといった関節音が生ずることがあります。最も多い関節音は関節円板性開口障害に先行する復位を伴う関節円板転位によるものです。前方に転位した関節円板が開閉口に伴って下顎頭が前後に動く際に下顎頭上に戻ったり、再度転位する時にカックンといった単発音が生じます。その他の関節雑音として下顎頭や関節窩、関節円板が変形して下顎頭と直接的、間接的にすれ合うことにより生ずるシャリシャリ、グニュといった軋轢音があります。

音だけで他の症状がなければ治療の必要はないかもしれません。ちなみに音だけであれば最低でも人口の20%近くの人は顎関節の音を持つとされています。

顎関節症のセルフケア

顎関節症の方の多くは日中に気がつくと歯をくいしばっているようです。また、食事の時に左右どちらか決まった方だけで噛んでいる「偏咀嚼」も見受けられますし、歯ぎしりやくいしばりなどは顎に過剰な力を掛けてしまいます。精神的なストレスから日中の無意識のくいしばりや肩、首、顔の筋肉の過度の緊張、さらには睡眠障害を招いて睡眠中のくいしばりや歯ぎしりの原因になります。

これらの原因はいずれも生活習慣による動作や癖であり、顎に負担をかける生活習慣を洗いだして改善していくことが顎関節症のセルフケアです。顎関節症のセルフケアは治療において重要なだけでなく発症を防ぐことにもなります。

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