食べるとき左右均等に噛んだほうがいい?

食べ物を食べるときに、気付かないうちに片側の歯だけで噛んでいる方は多くいらっしゃいます。私たちは食べるときに、下顎から頭蓋骨の側面にかけての筋肉である咀嚼筋を使います。この咀嚼筋は、左右どちらかに偏ってしまった噛み方を続けてしまうことで、頻繁に噛む側の咀嚼筋だけが発達してしまいます。咀嚼筋も筋肉ですので、利き腕が反対側の腕よりも太くなりやすいということと同じように、偏った方が肥大してしまうのです。しかも咀嚼筋は下顎がぶら下がっている構造をしているため、片側の咀嚼筋が肥大していくことによって、顎の位置までねじれてしまう場合もあるのです。

その一方で、噛まない方の咀嚼筋は萎縮してしまいます。そのため片側の口元のほうれい線やしわが深くなったり、目元がたるんでしまったりすることもあるのです。もしも偏った噛み癖の不安がある方は、普段鏡を見ているとなかなか気付きにくいのですが、写真を撮ってみて確認することでご自身の顔のバランスや歪みを認識することができます。

偏った噛み癖が引き起こすトラブル

肩こりや腰痛の原因になる

食べ物を噛むときに、より多く噛む側が利き顎になります。しかし噛む回数が左右で極端に異なってしまい、利き顎ばかりで噛んでしまっている状態を、偏咀嚼といいます。偏咀嚼によって顔周囲の筋肉のバランスが崩れてしまうことで、頭の位置が少しずつ変わってきます。体はその頭の位置のズレを元に戻そうとするため、首や肩、背中などの筋肉もバランスを崩してしまいます。こうしてバランスがズレてしまうことで、やがて体の中心軸にズレが生じてしまいます。中心軸がズレてしまうと、体全体が歪んでしまうため、それが原因で頭痛や肩こり、腰痛などを引き起こしてしまいます。

 顎関節症の原因になる

偏咀嚼は顎の関節にも大きな影響を及ぼしてしまいます。中でも、偏って噛む側の顎関節は常に大きな負担がかかってしまうため、顎関節症を引き起こしてしまう場合があります。

 歯の寿命を短くする

左右の歯がバランスよく食べ物を噛むことで、咀嚼際の歯にかかる力は分散されます。しかし偏咀嚼の場合、噛む力が利き顎側の歯に集中してしまうため、負担が大きくなってしまいます。負担が強くかかり続けた歯は徐々に弱ってしまい、結果的に歯を失ってしまうという原因になってしまいます。

 顔が歪む

偏った方ばかりで噛み続けると、よく噛む側の筋肉ばかりが発達してしまい、反対に使わない方の筋肉は萎縮していきます。そのため顔全体の筋肉のバランスが崩れてしまい、顔が歪んでしまう原因になってしまいます。

偏咀嚼になる原因

偏った方で食べ物を噛んでしまう偏咀嚼ですが、原因は人それぞれ違います。

虫歯や歯周病が原因

左右どちらかの歯が虫歯や歯周病などになってしまっている場合、治療をおこなわないまま放置すると症状は悪化していきます。悪化した虫歯や歯周病は痛みを伴うようになるため、食べ物を噛むことを避けようと別の側の歯で噛むようになります。それが続くことで偏咀嚼になってしまいます。この場合、初期の段階での治療をおこなうことで未然に防ぐことが可能です。そのためにも、大分県のかかりつけの歯科医院での治療や、定期的なクリーニングなどを受けることはとても大切です。

 噛み合わせが悪いことが原因

歯並びがデコボコになっていたり、前歯が強く傾いて前に出てしまっているような不正咬合は噛み合わせを悪くしてしまいます。噛み合わせが悪いことで、物をしっかりと噛むことができなくなるため、噛みやすい方で噛む癖がついてしまいます。それによって偏咀嚼になってしまいます。さらに、歯科治療で虫歯などを治療した際、詰め物や被せ物があっていないために噛み合わせが悪くなることがあり、この場合も偏咀嚼の原因になってしまいます。また、入れ歯などの噛み合わせが合っていないことも原因になるため、噛み合わせがあっていないと感じた場合は、早めに歯科医院で診てもらうようにしましょう。悪い噛み合わせが続くと、顎の位置もズレてしまうため、顎関節症などを引き起こしてしまう場合もあります。

 歯ぎしりや食いしばりが原因

歯ぎしりや食いしばりも偏咀嚼の原因になってしまいます。強いストレスを感じ続けてしまうことによって、食いしばりを起こしてしまうこともあります。また、就寝中に歯ぎしりや食いしばりを起こしている場合もあります。歯ぎしりや食いしばりは、歯をすり減らしてしまったり、歯に負担がかかるため歯が欠けたり折れてしまう原因になってしまいます。それによって、噛みやすい方に噛む癖がついてしまうのです。就寝中の対策として、ナイトガードなどのマウスピースを装着することで歯への負担を最小限に抑えることができます。

食べるとき左右均等に噛んだほうがいい?

左右均等に噛むことで、顔の左右のバランスも整います。さらに体のバランスも崩れないため、肩こりや腰痛を予防することもできます。噛み癖がある方は、様々なトラブルを引き起こす原因になってしまう場合があります。そのため食事の際は、意識して左右均等にバランス良く噛むようにしましょう。

おすすめの記事
インプラントの費用は?
インプラントの費用は?
インプラントをご検討の方で、費用を調べたり、歯科医院に尋ねた時に高額な費用にびっくりしたことはありませんか? 歯科治療において保険が適用されるのは、「歯の健康を保つための必要な最低限の治療」に限定されることから、歯を失った際に歯の機能や見た目を回復するインプラントは基本的に保険適用外治療(自由診療)となります。またイン...
矯正歯科治療とは
矯正歯科治療とは
歯並びが悪い方や、歯の噛み合わせが悪い方でお悩みの方は多いと思います。歯並びが悪いと、相手の見た目の印象も変わってしまう場合があります。さらに、人前で歯を見せて笑うことが恥ずかしく、つい口元を隠す癖がついてしまっている方も多くいらっしゃいます。また歯並びが悪いと、歯磨きの際に歯ブラシが届かない場合があり、磨き残しが増え...
クラウンレングスニングとエクストルージョン
クラウンレングスニングとエクストルージョン
「抜歯しない」治療法として 虫歯や歯周病が重度にまで進行すると、歯科医院によっては「この歯は持たないので、抜歯するしかない」と診断されることは良くあります。食事をより美味しく、楽しく食べることができるように、なるべくなら自分の歯は残しておきたいものです。 どうしてもやむを得ない場合を除き、できるかぎり大切な歯を1本でも...
インプラントが外れる場合がある?
インプラントが外れる場合がある?
インプラント治療後のトラブルとして、インプラントが脱落してしまう場合があります。インプラントは顎の骨に埋入する「インプラント体」、「人工歯」、インプラント体と人工歯を連結する「アバットメント」の3つのパーツから構成されています。このどの部分が外れるかによって、対処方法が変わってきます。インプラントが外れる場合の、原因や...
異常はないのに感覚がおかしい口腔心身症とは
異常はないのに感覚がおかしい口腔心身症とは
歯科(口腔)心身症とは 歯や歯茎、舌や口唇など口に関連する器官の感覚に異常が現れていると思っているのに、治療してもなかなか改善せずに原因が分からないということがあります。こうした患者さんの中には、歯科(口腔)心身症の疑いがある場合があります。 歯科の治療対象の場所である口、顔、顎には、知覚神経が多く存在します。口唇や口...
デンタルフロスとは?
デンタルフロスとは?
毎日の食事をした後などにおこなう歯磨きですが、歯ブラシで磨いただけでは歯垢(プラーク)や食べカスをキレイに取り除くことは難しく、歯並びによっては歯ブラシが届きにくい箇所も出てきてしまい、磨き残しが原因で虫歯や歯周病になってしまうことも多いです。特に、歯と歯の間は十分に磨けていない事が多く、歯垢や食べカスが残ってしまいま...
蓄膿症と歯科疾患の関連について
蓄膿症と歯科疾患の関連について
副鼻腔炎とは、鼻の奥やその周囲にある空洞が炎症を起すことで膿が溜まってしまう疾患で、蓄膿症とも呼ばれます。風邪やアレルギーによる鼻炎から発症することが多く、一般的には耳鼻科疾患の一つといえるため、歯科の領域とは関係ないと思いがちですが、実は虫歯や歯周病などの歯科疾患が原因となって発症する場合があるのです。 歯科疾患と副...