インプラント矯正治療とは

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インプラント矯正治療とは

従来の矯正治療では歯を動かす時の固定源として、奥歯などの動きにくい歯を用いておこなうのが一般的な矯正治療なのですが、インプラント矯正治療はインプラントを固定源として用いる手法のことをいいます。具体的には顎の骨を土台にして引っ張るので、強制する必要のない歯への負担を減らすことができ、より効果的に全体の歯並びを整えられるのです。

インプラント矯正による歯並び矯正では、インプラントはチタン合金製の微小なネジを使用します。ネジは長さ約10mm、直径約1.5mm〜約3mm程度のものが主流です。それを矯正したい場所に埋め込み、歯の矯正をします。手術も麻酔をするため、ほとんど痛みもなく10分〜20分ほどで済むので患者さんの負担も少なくて済みます。矯正用のインプラントのネジも、矯正歯科治療が終わって必要なくなったら抜くものですし、通常のインプラントのように様々なトラブルが多いものではありません。

インプラント矯正治療は多くのメリットがある治療法です。デメリットも含めてご説明いたします。

インプラント矯正治療のメリット

矯正期間を短縮することができる

歯並びの矯正治療は通常、器具をつけて数年の時間を要して治療しなければならなかったのですが、インプラント矯正は、インプラントを利用して必要な歯を効率よく引っ張ることが可能なので、歯並び矯正にかかる期間も半年ほどで済むことができます。

抜歯をせずに矯正することができる

従来の矯正では歯並びの状態が悪いと、歯を移動するスペースがなくなってしまうために抜歯が必要だったのですが、インプラント矯正は歯列全体を動かすことができるので、抜歯をせずに矯正治療がおこなえます。

※親知らずがあるなどの場合は抜歯が必要になることもあるので事前に歯科医師に相談しましょう。

歯並びに対して矯正用の器具を引っ張る方向を自由にコントロールできる

通常の歯並び矯正場合は、固定源を動きにくい奥歯などの歯を用いての矯正治療となるため、引っ張る方向や力の加減も限定されてしまいます。しかしインプラント矯正は血管や神経を避けた安全な場所にインプラント埋め込むことができるので、立体的な力を加えることが可能になり、引っ張る方向も強さも自由にコントロールすることができます。

歯並びの状態が悪くても矯正できる

ガミースマイル(前歯が前に出てしまい、笑ったときに歯茎が必要以上に出てしまう歯並び)や受け口(上下の歯を噛み合わせたときに下アゴの歯全体が上アゴの歯全体より前方に突出している不正咬合の歯並び)などの歯並びの状態が悪いために、矯正治療の前に抜歯をしなければならない場合や、顎の外科的手術が必要な場合などは、治療に時間がかかるうえに患者さんの負担も大きなります。しかしインプラント矯正では、歯列全体を引き上げることができるため、抜歯や手術をせずに歯並びを大きく動かすことができ、歯並びの状態が悪い場合も矯正が可能になります。

虫歯や歯周病のリスクを減らすことができる

インプラント矯正はシンプルな形状なため、矯正器具を装着することで歯磨きがしづらくなり、磨き残しによる虫歯や歯周病になってしまうというリスクを軽減させることができます。

口全体の違和感を軽減させる

インプラント矯正では動かしたい歯だけに矯正器具を取り付けることが可能なため、通常の矯正治療特有の、口の中の違和感を軽減させることができます。

インプラント矯正治療のデメリット

手術などの外科処置が必要となる

歯並びをインプラント矯正する場合は、インプラントを埋入する手術が必要となります。また治療の途中でインプラントが脱落してしまったり折れてしまう場合があり、その場合には場所をずらして再埋入するために再手術が必要になります。しかし、手術自体は10分〜20分ほどで済むので患者さんの負担は少ないです。

費用が高くなることがある

インプラント矯正の手術費用は、健康保険適用外の自由診療になることがほとんどのため、一般的な矯正治療よりも費用が高くなることがあります。また患者さんの症状によってはプレートタイプのインプラントを使用して矯正することもあります。その場合2~3倍の金額がかかる場合があります。しかし効率的な歯並び矯正によって治療期間が短縮することができれば、費用も安く済ませることもできます。

顎の骨によってはインプラントが脱落することがある

インプラントによる歯並び矯正は、インプラント治療と同様に埋込するために、十分な顎の骨が必要となります。十分な顎の骨の高さや量がなく、インプラントが顎の骨としっかり結合できなければ、インプラントが抜け落ちる危険性があるため治療はできません。

年齢制限がある

インプラント矯正による歯並び治療は、顎の骨の成長が終わる16歳以降くらいが対象年齢とされています。インプラント矯正を行うには顎の骨が成長を終えてしっかりした状態であることが必要なのです。

インプラント矯正を取り扱っていない歯科医院が多い

インプラント矯正は新しい歯並び矯正の治療法で、期間も短縮できる矯正の一つとして、近年期待されている治療法です。しかし、現在インプラント矯正をおこなっている歯科医院が少ないため、インプラント矯正を希望しても治療できない可能性があります。

もしも大分県のかかりつけの歯科医院がある場合、そちらではインプラント矯正をおこなっていなくても、インプラント矯正をおこなっている歯科医院を紹介してもらえる場合もあるため、一度医師とご相談することをお勧め致します。

矯正用インプラントの種類

インプラントの矯正用の固定源としていくつかの種類があります。

スクリュータイプ・インプラント

もっとも多く用いられている矯正用インプラントです。様々な医療機関で使用されている純チタン製のネジを使用することが多く、親和性が良い材質なので周囲の骨にしっかりと植立されます。また強度が高く術中の破切等の問題がほとんどありません。

スクリュータイプの手術はシンプルなため、患者さんが感じる痛みは最初の麻酔注射だけで、10分〜20分ほどで手術は終わります。術後も腫れることはなく、痛みや違和感もほとんどありません。 矯正治療が終わったらインプラントを取り除きます。その際、麻酔無しでも簡単に取ることができ、手術痕も残りません。

しかし、歯と歯の間に埋入するために、インプラント周囲の歯を大きく移動することはできません。

プレートタイプ・インプラント

プレートタイプ・インプラントには、埋入型プレートタイプ・インプラントと組織外プレートタイプ・インプラントがあります。

埋入型プレートタイプ・インプラントは、純チタン製のプレートを埋入する部分に麻酔をおこなってからインプラントを埋入し、歯茎を切開してプレートを挿入します。埋入時と撤去時に歯茎を切開し剥離する必要があるため、処置後の数日間はある程度腫れや痛みを伴います。粘膜下でスクリューにより固定され、歯を牽引するためのフックが粘膜を貫通して奥歯の外側に出ています。

組織外プレートタイプ・インプラントは、純チタン製のプレートを埋入する部分に麻酔をおこなってから歯茎を切開せずにインプラントを埋入してプレートを挿入します。麻酔が切れても腫れや痛みを伴うことはありません。プレートは主に上顎の裏側前方部に挿入します。

プレートタイプのインプラントは、スクリュータイプのインプラントと比べると、強く固定ができるため、大きな歯の移動を効率的におこなうことができます。

また、スクリュータイプには埋入場所や歯の移動量に制限があり、埋入型プレートタイプは術式が複雑で広範囲を切開するといった、それぞれの欠点がありますが、組織外プレートタイプ・インプラントは、両者の欠点を補った特徴があり、今後注目されている治療法です。

矯正をお考えの方に

矯正用インプラントは、一般的な矯正と比べればメリットのほうが多い矯正法といえます。治療には手術や矯正器具などが必要となりますが、健康な歯に負担をかけず短期間で効率的に歯並びを治せる可能性があるのは患者さんにとっても大きな魅力だと思います。新しい治療法ということで、取り扱っている歯科医院が少ないという欠点はありますが、難しい歯並びにも対応できる可能性があります。

歯並びに悩んでいる方、矯正治療をお考えの方は、まず一度大分県のかかりつけの歯科医院にで相談していただくことをお勧めいたします。

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