サイナスリフト

Contents

サイナスリフトとは

歯を失ってしまった時のためにインプラントという治療法がありますが、インプラント治療の際、患者さんの骨の状態によっては十分な骨の幅や高さがなくて、インプラント治療ができない場合があります。特に上顎の骨の上(眼下の顎骨あたり)には上顎洞(じょうがくどう)と呼ばれる大きな空洞があり、上の奥歯を失ってしまった場合、時間が経つにつれて骨吸収が起きてしまうため、この空洞が拡大し、インプラントを埋め入むための十分な量の骨が無くなってしまいます。

インプラント体を不十分な骨に埋入すると、噛み合わせや咀嚼の力に耐えるだけの十分な安定性を保つことができなくなるため、インプラントが動いてしまったり最悪な場合はインプラントが脱落してしまうことがあります。そこで、上顎洞に骨造成を行うことによって、骨移植や骨補填材(自分の骨以外で骨造成に用いられる材料)を充填し、上顎洞の底部分を押し上げて骨が再生するのを待ってからインプラントを埋入する治療方法を、サイナスリフトといいます。その際、長いインプラント体を埋入することができるため、インプラント治療の成功率は高くなります。また、上顎洞の周辺の処置をする治療は、必ずCT撮影を行います。上顎洞にトラブルがある場合、サイナスリフトなどの手術をすることは出来ません。

サイナスリフトの治療法

サイナスリフトの治療法は、まず骨が足りない歯の歯茎の側面を切開し、スペースに骨造成により移植骨を埋めていき、骨の高さを増大します。その際、側面を切開する方法をサイナスリフトと呼び、下から切開する方法をソケットリフトと呼びます。その後、骨がしっかり再生・治癒するまでに約3~6ヶ月の時間をかかります(症状によっては同時にインプラントを埋入する方法もあります。)が、徐々に強固に結合していき、インプラント体を埋入のための安定した基盤を作ります。インプラントを埋入することができる十分な高さが確保できたら、インプラント体を埋め込みます。

サイナスリフトのメリット

上顎洞までの骨の高さが1~3㎜の場合と、骨のうすい部分にも十分な厚みの骨をつくることができ、骨の少ない方でもインプラントの埋入を可能にします。

逆に言えば、上顎の骨の高さが 4mm以下の場合の方には、サイナスリフト以外にインプラント治療は不可能といえます。治療期間はかかりますが確実な治療法です。

サイナスリフトのデメリット

サイナスリフトは上顎洞までの骨の高さが1~3㎜の場合の治療方です。

ソケットリフトは骨の高さが3〜7mmの場合の治療法ですが、ソケットリフト法よりも手術の切開の幅が大きく、傷口が大きくなってしまうため、治療期間が長くなってしまうのがデメリットです。

また、術中に上顎洞粘膜に穴を開けてしまうことがあり、それに気づかず吸収の遅い骨補填材を上顎洞に押し込んでしまうことにより、上顎洞炎を起こしてしまう場合があります。

おすすめの記事