歯と口元からはじめるアンチエイジング

アンチエイジングとは

私たちは年齢を重ねていくことで、老化や加齢など、体の様々な変化に影響を及ぼしてしまいます。これは仕方のないことですが、老化や加齢を止めるのではなく、老化を原因から抑制していくことで老化のスピードを遅めたり、老化を予防したりすることをアンチエイジングといいます。アンチエイジングは健康な人をさらに健康にしていくという、「予防医学」に基づく新しい医療方法なのです。痴呆などの病的な老化は、一つの要因から引き起こされるのではなく、毎日の生活習慣や生活環境、さらに精神的なストレスなどの複数の要因により進行します。そのため、全身の老化度や酸化ストレスや細胞レベルの損傷度などの加齢によって体に生じる様々な変化や老化の兆候を、アンチエイジング検査をおこなうことで早期の段階で発見するとともに、しっかりと対処していくことが重要なのです。それでは、歯と口元のアンチエイジングにはどのようなことをおこなうのでしょうか。ご説明いたします。

よく噛めることがアンチエイジングに繋がる

噛むことで老化を予防する

歯でしっかりと食べ物を噛むことができることは、老化の予防に繋がります。歯が丈夫であると、繊維の多い野菜や果物を多く摂取することができるため、豊富な食物繊維やビタミンを摂ることができるので、お肌の健康や生活習慣病にも良いといわれています。またしっかりと食べ物を噛むことができることで、食事を楽しむこともできます。食事は私たちの生活の中でも欠かすことのできないものです。美味しく食事を味わったり、仲の良い人たちと美味しく食べ物を食べることは心の健康にも繋がります。さらに噛むことは脳に刺激を与えます。噛むことで歯根膜の神経を通じて振動が脳に直接伝わり、それが刺激と認識されるため、脳の血流量が増加し脳の働きも活性化されます。そのため満腹中枢を刺激して食べ過ぎを防ぐので肥満を防止したり、記憶力を高めたりする他、ストレスも軽減されるので心の安定にも繋がります。しかし反対に噛む回数が減ってしまうと、脳への振動や刺激が減ってしまうため、脳は委縮を始めてしまうので、結果脳が退化してしまうので認知症になりやすくなってしまいます。しっかりと噛むことが認知症の予防に繋がるのです。

唾液の分泌を促す

噛むことは唾液の分泌も促進されるので、消化を促すことで消化器官の負担を軽減することもできます。また、他の物質と結合して酸化しやすい状態になっている不安定な酸素である「活性酸素」を抑制することができます。活性酸素は、体内の物質を酸化させるとシワやシミなどの老化や、様々な疾患を引き起こす要因と考えられており、唾液の分泌が少ないと唾液中の活性酸素が多いという研究結果も出ています。

さらに唾液には、神経細胞としての成長・成熟を促進し、脳神経の機能を回復する「神経成長因子」と、皮膚などの細胞の成長と増殖の調節に重要な役割を持つ「上皮成長因子」が含まれていることがわかっています。唾液は、皮膚や脳の老化を防ぐ役割もしているのです。

歯並びや噛み合わせは顔の表情を変える

歯並びが悪く噛み合わせが悪いことは、顎や一定の歯に負担をかけてしまいます。そのため顎に痛みが出でしまったり、肩こりや頭痛の原因になってしまいます。また歯並びが悪いことで、本来明るい性格の人でも人前で歯を出して笑うことに抵抗を感じてしまうため、消極的な性格になってしまうこともあります。歯並びや噛み合わせを改善することで、顎の骨と筋肉も正しく発達するため表情も変わり、引き締まった顔立ちになります。さらに、人前で歯を出して笑うことができるため、表情も豊かになり、性格も明るくなることから心が健康になることで、アンチエイジングに繋がるのです。

虫歯や歯周病とアンチエイジング

虫歯や歯周病もアンチエイジングと大きな関わりがあります。虫歯や歯周病が進行してしまうと、結果的に歯を失ってしまいます。歯を失ってしまうことで、不正咬合や噛み合わせが悪くなる原因になってしまうため老化にも繋がります。その場合、インプラント治療などで歯を補うことで改善できるのですが、なるべくなら虫歯や歯周病にならないための予防歯科をおこなうことがアンチエイジングにとても重要なのです。

予防歯科は、ご自身でおこなうセルフケアの他に、歯科医院での歯のクリーニングなどをおこないます。歯科医師や歯科衛生士が専門的な機械を用いておこなうクリーニング(PMTC)によって、ご自身では取り除くことができない歯石やバイオフィルムをキレイに除去することができます。また、飲食物などでついた着色汚れ(ステイン)も取り除くことができます。虫歯や歯周病のない健康な歯を保つことで、いつまでも若々しい日々を過ごすことと大きく関係するのです。

おすすめの記事
インプラントの費用は?
インプラントの費用は?
インプラントをご検討の方で、費用を調べたり、歯科医院に尋ねた時に高額な費用にびっくりしたことはありませんか? 歯科治療において保険が適用されるのは、「歯の健康を保つための必要な最低限の治療」に限定されることから、歯を失った際に歯の機能や見た目を回復するインプラントは基本的に保険適用外治療(自由診療)となります。またイン...
警察歯科医とは
警察歯科医とは
警察歯科医とは 警察歯科医とは、遺体の損傷が激しく見た目で確認できない場合に、警察署より依頼を受け、身元不明遺体の歯や口腔内の状態(歯科所見)を確認して、生前に歯科治療を受けている痕跡や患者さんのカルテやレントゲン写真などを照らし合わせることで身元を特定したり、本人特定の際の検視の補助をおこないます。 警察歯科医が世間...
歯の神経について
歯の神経について
歯の神経の役割 内臓や皮膚などと同じように、体の一部である歯に神経があるということは、歯が生きているということです。歯の中の歯髄(しずい)と呼ばれる部分には神経の他に血管も入ってきています。それによって歯に栄養を与えたり、酸素を運んだり、免疫などの防御反応を伝達するなど重要な役割があります。それによって歯を丈夫な状態に...
歯科放射線について(X線)
歯科放射線について(X線)
歯科医院では、レントゲンや撮影でのX線検査により、隠れた虫歯や細くて複雑に分岐した根管、歯槽骨の減り具合や骨密度、歯茎の奥に溜まった歯石だけでなく歯や歯の周り、顎の骨格まで総合的に把握することができます。しかしその場合、X線検査による被爆が気になる方も多いのではないでしょうか。医院によっては、問診票にレントゲン撮影を希...
インプラント周囲炎
インプラント周囲炎
インプラント周囲炎とは? インプラント周囲炎とはインプラントにおける歯周病です。インプラントに最も多いインプラント治療のトラブルです。インプラントは虫歯にはなることはありませんが歯周病にはなることがあります。インプラント周囲炎は、歯肉の腫れ・出血などの症状が現れて進行すると歯周組織が破壊されてしまいます。インプラントを...
虫歯ではないのに歯が痛む原因とは?
虫歯ではないのに歯が痛む原因とは?
歯原性歯痛と非歯原性歯痛 口腔内やその周辺に起こる痛みは、症状が軽度なものから、激しい痛みを伴うものもありますが、たとえ軽い痛みであっても不安がつきまとってくるものです。これらの痛みの多くは、「歯原性歯痛」といわれる歯が原因となる歯痛です。歯原性歯痛は、歯の中の神経である「歯髄」や、歯の周りの歯を支える組織である「歯周...
骨が足りない方のインプラント治療
骨が足りない方のインプラント治療
インプラント治療は、顎の骨にインプラント体を埋入する外科手術が必要となるため、十分な顎の骨の量が必要となります。しかし、骨の吸収などによって骨の量が少なくなってしまっている場合は、骨量を増やすために、骨移植や骨再生といった外科処置が必要となります。骨の量が少ない部分に骨を増やす場合に、使用する材料として一番良いものは、...
噛むと痛い「歯根膜炎」とは 
噛むと痛い「歯根膜炎」とは 
歯根膜炎とは、歯周組織を構成している歯根膜が炎症を起こしている状態をいいます。歯根膜は、噛んだ時に加わる歯への圧力を分散する、クッションのような役割を果たしており、コラーゲン線維の豊富な結合組織で「歯周靭帯」とも呼ばれています。この歯根膜が様々な要因によって炎症を起こした状態を「歯根膜炎」といい、噛むだけでも痛みを伴...
スポーツと歯の関係
スポーツと歯の関係
近年、スポーツの際にマウスガードなどをつけて試合に臨んでいる選手をよく見かけます。実はスポーツと歯は、大きく関係をしているのです。中でも噛み合わせは大きな役割を担っています。スポーツで様々な力を入れる瞬間に、噛み合わせがパフォーマンスに影響しているのです。 正しい噛み合わせ 不正咬合などの悪い歯並びによって、噛み合わせ...